山内 誠 代表（バニヤンツリー ベーカリー)のインタビュー

縁に導かれ、商店街でパン屋さんを開くことに

製菓の専門学校を卒業したのち、横浜市内のケーキ屋さんに就職しました。母親が家でお菓子などを作るのを見ていた影響もあるでしょうし、「ものづくり」に似た面白さを見出していたのかもしれません。就職して6、7年が経ったころ、そのケーキ屋さんからパン屋さんが立ち上がりました。もともとは「ケーキ屋さんもパンの技術があったほうがいい」という考えでパン部門が作られたのですが、私も含め、そこでパン作りに魅了されたものが中心となって新たにお店ができたのです。時を同じくして、私は上星川の地域に引っ越してきたのですが、街を歩いている際に「パン屋さん誘致プロジェクト」なる広告を目にしたのです。商店街のメンバーと話をしたところ、とんとん拍子に「一緒にやりましょう」ということになり、この商店街でお店を構えることになりました。なかなかないきっかけですし、本当に縁ですよね。早いものでこの4月（2023年）でオープンから丸5年を迎えます。

“親しみやすいパン屋さん”として

お店は朝の10時から。お昼のパンを求める方が来店され、一旦落ち着いて夕方からは仕事帰りの方達がその日の子ども達のおやつや翌朝のパンを求めていらっしゃいます。パン屋さんを表現するのに「親しみやすい」という表現はなかなか聞かないと思うのですが、少なくない方からそのような評判をちょうだいしています。誰もが目にしたことのある、馴染みのあるパンが並んでいることからそのような評価をいただいてるのではないでしょうか。ことさら高級食材などにこだわることもなく、1つひとつの工程を丁寧に踏んで作っています。ありがたいことに「どのパンを食べても美味しい」と言ってもらえています。

塩パンにクロワッサン、プリンも！

中でも人気を集めているのが塩パンとクロワッサンです。塩パンは全粒粉を使用しており、プチプチした食感が特徴です。バリエーションとして塩パンを使ったサンドイッチも販売しており、特にお昼に人気を集めています。クロワッサンは生地を仕込むところから始まり、バターをおりこんで成形まで、一から手作りしています。クロワッサン好きな人に評価をいただいています。
そうそう、人気といえばプリンがありました。製菓出身ですから、その経験と技術を生かしたもので、いわゆる半熟タイプのなめらかなプリンです。みなさん、まさかパン屋でプリンを作ってるとは思わないですから、初めての方は意外な顔をされるのですが、次にいらしたときは買っていかれますよ。

まちづくりするパン屋さんとして

商店街が主催する「スリッパ卓球」というものがあります。地域活性化イベントの1つで、私も運営委員として審判をやったり球拾いをやったり得点係をやったりと、可能な限り参加しています。参加費は無料で予約なども必要なく、お祭りやイベントにいらしたお客様がそのまま遊んでいかれます。活動はもう6、7年続いてるものですから、今では行く会場、行く会場に常連の参加者の方もいらっしゃいます。スリッパ卓球はもともと和田町で始まったもので、それが保土ヶ谷区の商店街に広がり、今では横浜全18区で開催されています。その優勝者を集めた決勝大会も年末におこなわれています。
お店とは直接関係のないことですから、周囲の方から「盛り上げてくれて偉いね」と言われるのですが、とんでもありません。そもそもお店だけで何かやろうとしても限りがあります。それが街に人が来ることになればあっちもこっちも楽しくなりますし、結果、パン屋さんを訪れる方も増えることになります。自分のところだけではなく、みんなで盛り上がっていければ、と考えています。

地域のみなさんへメッセージ

縁を恩返ししたいという気持ちが強いものですから、様々な縁を大切にし、つながっていくことでプラスワンの笑顔を上星川の中で作っていけたらと考えています。これからもまちづくりするパン屋さんとして頑張っていきますので、応援のほどよろしくお願いいたします。

※上記記事は2023年3月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。