NPO法人 ピアわらべ 秋元 秘路子 代表 HIROKO AKIMOTO
2002年に保育士仲間で『ピアわらべ』を設立。2023年3月31日、『地域子育て支援拠点こっころ サテライト』をオープン(相鉄線「天王町駅」より徒歩3分)
2002年に保育士仲間で『ピアわらべ』を設立。2023年3月31日、『地域子育て支援拠点こっころ サテライト』をオープン(相鉄線「天王町駅」より徒歩3分)
初めての仕事は、幼稚園の先生でした。正直なところ最初の数年間は、子どもが好きとか、楽しいというよりも、「お仕事」と割り切って日々を送っていた気がします。おそらく、お友達がみんな進学していく中で、家庭の事情で自分だけ進学できなかったということがわだかまりになっていたのでしょう。その気持ちに変化が生まれたのは、結婚し、子を産み育て、保育園に勤務するようになり、そこで出会ったある考え方でした。よく、「この時間は何をしなさい」という指導がおこなわれますよね。でもそれは大人の思いを子ども達に押し付けてるだけであって、子どもの自由に育つ力を奪っていくことに似ています。そうではなく、子どもが持つ力をサポートするという考え方に触れ、それを実践することによって、子どもと一緒に過ごすことを心から楽しめるようになっていきました。その過程で出会った保育士仲間数人と2002年に立ち上げたのが、当施設の母体である『ピアわらべ』でした。
当初は保育園に子どもを預けられず、在宅で子育てをしているお母さん達の助けになれればと、今で言う「一時預かり」からスタートしました。一時預かりは今でこそ高いニーズがありますが、当時はなかなか理解されませんでした。「子どもは母親が見るもの」というのが当たり前に思われていた時代。それが少しずつ少しずつ理解されるようになり、それと共に私たちの活動も評価をいただけるようになっていったのです。
2019年に星川に『保土ケ谷区地域子育て支援拠点こっころ』をオープン。そして『保土ケ谷区地域子育て支援拠点こっころ サテライト』は2023年3月にオープンしました。横浜市では各区に地域子育て支援拠点を整備しており、ここ保土ヶ谷では私たちが区役所と共同で運営しています。
施設内の「ひろば」で子どもを遊ばせることがベースとなり、子育てに関する様々な情報発信、ならびにスタッフをはじめ、保育士さんや栄養士さん、助産師さんや心理カウンセラーさんなど、専門家による子育てについての様々な相談を承っています。
民生委員さんや町内会長さん、そして多くの地域の方々が喜んでくださり、とても嬉しく心強く思っています。
「親子のひろば」は、これからご出産を迎える妊婦さんから未就学児のお母さん、お父さんが一緒に集まり、時間を過ごしていただくものです。横浜市の統計によると、これから子育てをするお母さん、お父さんのうちで、これまで子どもに関わったことがないという方が実に75パーセントにのぼるという結果が出ています。「すみません。赤ちゃんはどこから手を入れて、どうやって抱っこするんですか?」。これは私の娘が産婦人科医院でお世話になった際、お隣のベッドの方が看護師さんに尋ねていらっしゃったことです。そのお母さんが悪いというわけではもちろんありません。知る環境になかったというだけなのです。今回のコロナ禍がその状況に拍車をかけたということもあるでしょう。かかわりたくてもかかわれない状況で、1人ですべてを抱え込み、思い悩んでいるお母さんがたくさんいらっしゃると思うんですね。ここでのんびり過ごしながら、自分の子より少し上のお子さんの様子を見たり、スタッフや他のママさんの関わり方を見ることで自然とノウハウが身についていきます。その意味において、この施設がある意義は決して少なくないと信じています。
横浜子育てサポートシステムという20年以上続いている事業があります。地域の中で子どもにかかわりたいと思っている方と、預かって欲しいという方とを結びつけるものです。この事業の難しいところは、お家に知らない人が入ってくるといったことや、事故があった場合にどうすればいいか、といった点です。しかし、うまくコーディネートできれば、例えば夫婦で家に帰れない場合に、慣れ親しんだおばさんのところで子どもを見てもらえる、といった可能性があります。
当施設でも、ひろば預かりというものをおこなう予定です。預かって欲しい人と、かかわりたいという人が一緒にここにきて遊ぶことで、安心してお母さんたちが子どもを預けられる状況を生み出せればと考えています。地域で子ども達を見守っていく体制ができていくといいですね。
『地域子育て支援拠点こっころ』は、親子の居場所、子育てを応援する人の居場所です。ここでのんびり過ごしながら、子育ての悩みを一緒に解決していきましょう。どうか1人で悩まないでください。私たちと一緒に楽しく子育てをしていきましょう。
※上記記事は2023年6月に取材したものです。
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