かどのペットクリニック 葛野 莉奈 院長 RINA KADONO
麻布大学獣医学部を卒業後、横浜市内動物病院、川崎市内動物病院、会員制動物病院アニクリ24にて勤務。2015年に獣医師の夫とともに「かどのペットクリニック」を開院。
麻布大学獣医学部を卒業後、横浜市内動物病院、川崎市内動物病院、会員制動物病院アニクリ24にて勤務。2015年に獣医師の夫とともに「かどのペットクリニック」を開院。
獣医師という職業を初めて知ったのは、小学校の頃でした。飼っていたハムスターに癌が見つかって、診てくださった獣医師が私の話を真剣に聞いてくださって……。そのとき、「獣医師は動物だけでなく、飼い主のことも助けられる仕事なんだな」と感じたんです。そこから、獣医師になることが将来の目標となりました。小学校の卒業文集に「獣医師になりたい」と書くほど、本気の夢でしたね。
大学では獣医学部に入学し、卒業後は横浜市や川崎市の動物病院で学ばせていただきました。その後、大学時代の同期で獣医師の夫とともに往診専門医として診療を行っていました。ただ、ご自宅でさせていただく処置には限りがあると感じ、診療の幅が広げるため、2015年に「かどのペットクリニック」を開院しました。
当院は夫が副院長、私が院長として勤務しています。「女性が院長になるなんて珍しい」と、よく言われます(笑) 以前から私は「飼い主さまにはこうしてあげたい」「病院の体制を整えたい」など、どのような病院でありたいかという理想を強く持っていました。「それなら、院長をやってみたらどう?」と夫の後押しもあり、私が院長に就任しました。
動物病院は、飼い主さまにとって少しハードルが高いイメージがあるかもしれません。なるべくそんな壁を取り払うような動物病院でありたいです。また、獣医師はペットの病気や健康のことを気軽に相談できる存在であるべきだと思っています。飼い主さまが獣医師とフランクな関係性を築けるように意識していますね。
獣医師の仕事をするうえで注意していることは、飼い主さまに投げかける言葉の選び方です。たとえば、ペットが重い病気を抱えていたとき、飼い主さまが獣医師の言葉をマイナスな方向に捉えてしまう場合があります。
ペットに対しての最終的な判断は飼い主さまに委ねることになるのですが、そのときにいかに寄り添えるかが大切です。私も犬を飼っているので、私自身が診てもらいたいと思える獣医師であるように努めています。飼い主としての気持ちを生涯忘れてはいけないなと感じますし、飼い主さんの感じ方や捉え方をしっかり理解したうえで、獣医師は発言していくべきなんです。
当院ではブリーダーのサポートを積極的に行っています。とくにご自宅での動物の出産は危険がつきものですので、より慎重な対応が必要です。たとえば、産まれる寸前なのに、なかなか赤ちゃんが出てこないことがあります。そのため、緊急を要する状況に対応できるよう、病院の電話を携帯電話に転送するようにしています。深夜0時から帝王切開のオペを行うことも少なくありません。
ときには出産で赤ちゃんやお母さんが亡くなることもあり、悲しい場面に出くわすこともあります。それでも、命が芽吹く瞬間に携わると、この奇跡に立ち会わせてもらえて良かったと感じますし、やりがいのある仕事だと実感します。
獣医師として、動物と人間がマイナスの関係にならないようにしたいと思っています。ペットとの死別を悲しんでいた飼い主さまが、しばらくして「動物との生活が楽しくて、また飼い始めました」と嬉しそうに2匹目のペットを連れてこられることがあります。
たしかに、ペットを飼うと悲しい別れがつきものです。ですが、時が経って楽しい思い出を懐かしく思っていただけるのであれば、獣医師としては本望だなと思います。飼い主さまの悲しみや苦しさを少しでも減らすお手伝いするのが、私たちの使命です。お力になれることであれば、お気軽にご相談いただきたいですね。
※上記記事は2021年8月に取材したものです。
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