鹿郷歯科医院 鹿郷 満保 院長 MITSUYASU KAKYO
奥羽大学歯学部卒業。横浜市内の歯科医院勤務を経て、1988年に『鹿郷歯科医院』を開業。
奥羽大学歯学部卒業。横浜市内の歯科医院勤務を経て、1988年に『鹿郷歯科医院』を開業。
歯は丈夫なほうで、“みそっ歯”全盛の時代でありながら、虫歯になることがなかっのです。今考えれば、唾液量が人より多く、それで救われたのでしょうね。自分だけなってないものですから「なんで僕は虫歯にならないんだろう?」という疑問を持ち、そこから歯に興味を持つようになったのです。
大学卒業後、鶴見区の歯科医院に勤務しました。歯科のノウハウ、基本はすべてそちらで教わりました。そして1988年、『鹿郷歯科医院』を開院いたしました。早いもので、もう30年以上経ったことになるんですね。最初は「もう少し広いところに移りたい」と思っていたこともあったのです。でも、結論からいうと、そうしなくて良かったですね(笑)。同じ場所でずっと変わらず診療を続けていくことには、地域の医療を考えても大きな意味があると思っています。
対処療法ではなく、原因療法でありたいと思っています。お口の健康を取り戻し、維持するには、原因を探り、取り除いてあげることが大切です。噛み合わせが問題なのか、プラークコントロールなのか、それとも食べ物を含む生活習慣なのか。患者さんからお話を伺いながら判断し、説明をしていくことになります。その説明の場面で重要な役割を担っているのが歯科衛生士です。当院では6名の衛生士が在籍し、治療中は必ず担当の衛生士が患者さんに付き添います。説明はもちろん私も行いますが、衛生士が私の意を汲んでさらに患者さんの心に訴えていくんですね。彼女たちの存在があるからこそ、患者さんも長く通ってくださっているのではないでしょうか。
やはり、定期的にお口のメンテナンスをすると、結果が違ってきます。一口に虫歯と言いますけれども、メンテナンス次第で進行しないものもあるんです。私が若い頃は、虫歯を見つければ「治療しなきゃダメでしょ」という時代でしたが、経験を経てきて、その辺りの考え方も柔軟になりました。それも全て、患者さんに教えていただいたことと思っていますし、より患者さんの利益になるようスタッフ共々励んでまいります。
開業した時と比べれば、お子さんは少なくなってきていますし、比較的年齢の高い患者さんが増え、それとともに入れ歯の需要も高まってきています。
入れ歯は、入れて終わりではなく、そこからが始まりです。よく聞かれるんです、「いつ出来るんですか?」と。その時、入れ歯はオーダーメイドでありハンドメイドなものですから時間はかかりますが、もっと重要なのは、そのあとなんですよと、お伝えしています。洋服にしても靴にしても、作ればそれでオッケーですよね。入れ歯は作ってから、さらに調整を重ねる、ある種、贅沢品なのです。半年、ないし1年ごとにメンテナンスを行えば、5年、10年と保っていきますし、壊れても何回でも修理できます。介護が必要になっても、入れ歯は外して洗えばいいだけですから、手間もかかりませんし、削る場所も少なくて済む。考えてみれば、こんな優れた商品はなかなかないと思いますよ。
歯科医師会会長を務めていた頃、各先生方のご協力があって、いまに続く訪問歯科診療のシステムを作りました。患者さんご本人から、あるいはケアマネさんや医師から依頼があると、歯科医師会で訪問治療に登録している先生に連絡がいきます。ここで大切なのは、スピードです。紹介で2週間、3週間かかっていては困りますから、1日2日で紹介できるようになっています。それから、通う歯医者さんであれば、患者さんが自由に選べますよね。ところが、一般的に訪問となるとそうはいきません。次を見つけるのが大変ですからね。そこで、患者さんの意思で担当する歯科医師を選べるようにしたのです。
新しい試みとして、保土ヶ谷区医師会の休日急患診療所のスペースに歯科のコーナーを入れてもらいました。医師会と歯科医師会の窓口が一緒になるのは、患者さんにとって大きなメリットになると思いますし、これからに大いに期待しています。
治療云々ではなく、ご自身の状況をまず知っておくことが大切です。症状が出てからでは治療範囲も広くなり、期間も長くなってしまいます。疾患があるからといって必ずしも治療しなければいけないわけではありませんし、情報を提供した上で患者さんご自身がお決めになっていいことです。自分で問題を“見つけに行く”という気持ちで歯科医院を利用してみてください。
我々は、患者さんの寿命を延ばすことはできませんが、健康寿命を延ばすことには十分に貢献できると思っています。お口の健康を維持して、最後まで食事を楽しんでいきましょう。
※上記記事は2022年6月に取材したものです。
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