林 譲治 院長（ハヤシ歯科医院)のインタビュー

患者さんの気持ちが少しでも楽になるように

思春期に興味を惹かれるものは様々ですよね。私の場合、音楽や自転車がその対象でした。しかし、どの道を選んだとしても、大成するのはなかなか大変なことです。そこへ持ってきて、親兄弟からの勧めもあり、私自身、細かい作業をすることを好んでいたことから、現実的な夢としてこの分野を選んだということになります。
大学卒業後は東京の品川で勤務医を務め、その後、神奈川県内の義理の兄の元に移り、1990年に『ハヤシ歯科医院』を開設いたしました。院内は機能性を重視しつつ、“箱庭”のような遊びの空間を所々に配しました。機能一辺倒というのも結構なのですけれど、患者さんの気持ちが少しでも和らぐことを期待して、この造りとしたのです。

患者さんの納得を得た上で治療を進めていくことを徹底

ご理解しやすい形でしっかりとご説明をし、患者さんと私どもの双方が納得して治療を進めていくことを心がけています。専門用語でお話しすれば1分もかからないような内容でも、それが患者さんに伝わらないのでは意味がありません。多少時間がかかっても理解していただくことが大切で、それによって納得して治療に臨んでいただけるようにしていきたいですね。
歯科の場合、治療を選択していただく場面が必ず生じます。材料の種類がそうですし、保険診療か自由診療かを選んでいただくケースもあるでしょう。利点・欠点を含めて、全てを把握していただけないことには、選択していただくこともできないことになります。患者さんが自分の意思でしっかり治療を選べるようにするためにも、しっかりとした説明が大切だと考えています。

“ものづくり”へのこだわり

様々な分野の治療を扱っていますが、強いて言えばもともと“ものづくり”が好きなものですから、根の治療と補綴にはこだわりを持っています。入れ歯であったり被せ物、詰め物であったり、それらがピタッと入ることにはこだわりがありますね。
根の治療と補綴物の精度は、患者さんにはわかりづらい部分かもしれませんが、10年先、20年先、30年先の結果に大きな影響を及ぼします。先ほど、双方の納得が大切とお話しましたが、患者さんはもちろん、私自身がその完成度に満足しているということが大切です。自分自身の治療に対して、高いクオリティーを「求める」ということのハードルは保ち続けていきたいですね。

長期的に実績のある治療の精度を磨くことに力を

「CAD/CAM冠」については、保険診療の適用になってから比較的早期に導入しました。CAD/CAM冠とは、歯の形をスキャンして、そのデータを抽出し、セミラックやコンポジットレジン等を歯の形に削り出すもの。奥歯でも目立つ場所が銀色では困るという方もおられますし、審美的な面も考慮して導入することを決断しました。
「CAD/CAM冠」については今お話しした通りですが、基本的には、実績のある治療の精度を高めてやっていきたいと考えています。新しい治療や材料は日進月歩で出てくるわけですけれど、10年単位の実績となりますと、心許ないものがあるのは確かです。私自身が確証を持てないものを患者さんに提供するわけにはまいりませんから、エビデンスが確かなものだけを扱い、その精度を極めていくことを重視していく姿勢を今後も堅持していきたいと思っています。

これから受診される患者さんへ

昨今は「オーラルフレイル」という言葉も聞くようになってまいりました。わずかなむせや食べこぼし、滑舌の低下といった症状を示すものであり、早期の発見で改善が可能であると考えられています。こうした症状に対し、「年をとってきたからしょうがない」と諦めてしまうのではなく、何かお困りのことがありましたらすぐにご相談ください。健康寿命を延ばすためにも、しっかり噛める食生活を送ることが大切です。
お口周りのことでしたら、私にもスタッフにも何なりとご相談ください。時にそれが医科の範疇に及ぶこともありますけれど、アドバイスは可能ですし、相談に立ち寄る感じでご利用いただけたらと思います。

※上記記事は2019年3月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。