清水医院 在宅・緩和ケアクリニック 清水 哲平 院長 TEPPEI SHIMIZU
浜松医科大学医学部卒業。都立駒込病院放射線診療科医長、横須賀市立市民病院放射線治療科科長、横浜市立市民病院放射線科治療科部長を経て、2009年に『清水医院 在宅・緩和ケアクリニック』を開院(相鉄線「和田町駅」より徒歩3分)。
浜松医科大学医学部卒業。都立駒込病院放射線診療科医長、横須賀市立市民病院放射線治療科科長、横浜市立市民病院放射線科治療科部長を経て、2009年に『清水医院 在宅・緩和ケアクリニック』を開院(相鉄線「和田町駅」より徒歩3分)。
大学で物理学を学んでいました。物理をやってきた人間がそれを生かす職種として、医学に興味を抱いたのです。あらためて医学部の門を叩き、卒業後は放射線治療に従事してきました。放射線治療とは、癌を治す治療に他ならないわけですけども、まさに物理を用いた治療に20年余り携わってきたことになります。
『清水医院 在宅・緩和ケアクリニック』は2009年に開院いたしました。直近に勤めていた病院では、患者さんの人数が増えるに従い、1人ひとりの方としっかりとお付き合いをすることが難しくなっていました。ご周知の通り、癌という病気ははすべての方が治るわけではありません。治療が一段落した方は、その後どうされているんだろうか? 治療を終えた後の患者さんにしっかり寄り添い、診る医者がいてもいいのではないかと思い、緩和ケアを主としたクリニックの開業に踏み出したのです。
「緩和ケア」と名乗っていることもあり、他の在宅診療所と比較すれば悪性腫瘍を患っている方の比率が多いかと思います。いわゆる慢性疾患の方が3分の1、認知症や脳の疾患で寝たきりの状態にある方が3分の1、そして癌の終末期をお家で迎えたいという方が3分の1という割合でしょうか。
緩和ケアでは、麻薬の使い方がやはり鍵となります。麻薬は使い方を誤ると副作用で患者さんを苦しめることもありますから、長く放射線科で治療をしてきた経験が活かせるところです。また放射線科では全身のあらゆる癌を診ることが要求されます。癌はどこにでもできてしまうわけで、それは在宅の患者さんも同様です。臓器に隔たることなく、全身を診てきた経験がその意味でも活かせると考えています。
足すでもなく引くでもなく、患者さんの“今”をありのまま受け入れ、余計なことはせず、見守っていくということが基本姿勢となります。癌を始め、治すことができない病気は多々あります。だからこそ、ご本人やご家族の希望を踏まえ、最後の時まで現在の生活の質をなるべく維持できるようサポートするのが私たちの役目と心得ています。医療ありきではないのです。患者さんの生活を第一に考え、やりたいことを実現させてあげるお手伝いが私たちにできることと考えています。
医療ありきではないという意味の中には、介護職に従事する方々とチームで連携して見ていくということも含まれています。ケアマネジャーさんや看護師さんからの情報は非常に重要です。患者さんは、医者には言えなくても、ケアマネさんや看護師さんには言えることもあるのです。「先生、あの方はこんなこと言ってらっしゃいましたよ」ということがあれば、軌道修正することもあるでしょうし、情報を多角的に取り入れていくことが大切です。長年の習慣もあり、医師に遠慮されてしまう介護職の方もおられます。ですから、みなさんが意見しやすいよう、フランクな関係づくりに努めることも私たちには求められると考えています。患者さんにいかに心地よくお家で過ごしていけるか。最終的な目標は同じなわけですから、その目標に向かってみんなが一致協力して歩んでいければと思っています。
保土ヶ谷区は比較的、高齢化率の高い地域であり、いわゆる老々介護の状態にあるご家庭も少なくありません。介護保険に代表される社会的な資源は多くありますから、それを早めにうまく利用することが、幸せな生活を続けることの近道だと思うのです。困ってしまったら1人で悩まず、早めにSOSを出すことをお勧めします。
「在宅療養は無理じゃないか」「やれることに限界がある」とお思いの方は、まだまだ少なくないと思われます。しかし、横浜市を例にしますと、現在でも在宅で亡くなる方の比率は約18パーセントで、この数字はさらに上向いていくと予期されます。在宅診療に従事する医療者も年々増えてきており、お家で最後まで過ごすことは決して無理なことではなくなってきました。どうぞお気軽にご相談いただければと思います。
※上記記事は2022年7月に取材したものです。
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