溝口 史一 代表（帷子珈琲 katabiracoffee)のインタビュー

苦手だったコーヒーを仕事にしたワケとは

実はもともとコーヒーが飲めなくて（笑）、学生時代は自分がこの仕事をするなど想像もできませんでした。そんな自分の転機になったのは、とあるお店と出会ったことでした。その日は映画を観に出かけた後、「ちょっと余韻に浸りたいな」と思ってコーヒー屋さんに入ってみたんです。ところがそこがとにかくステキなお店で、まるで別世界に入り込んだような感覚でした。
それからもしばらくそのお店のことが心に残り、「あんなステキな所で働けたらいいだろうな」と、アルバイト募集の問い合わせをしたりして。ありがたいことに面接で気に入ってもらえたようで、無事に採用してもらうことができました。そのときに初めて挽きたて・淹れたてのコーヒーを味わったのですが、苦手だったこともすっかり忘れて「すごい！おいしい！」と思ったことをよく覚えています（笑）。

街の雰囲気のよさに惹かれて『帷子珈琲』をオープン

残念なことにしばらくしてそのお店はクローズしてしまったのですが、幸いにもすぐ近くのお店に移り、コーヒーに関わることができました。実は最初のお店ではアルバイトがコーヒーを淹れることができなかったため、コーヒーについて本格的に勉強を始めたのはこの頃からです。
その後もいくつかのお店で経験を積み、この町に『帷子珈琲』をオープンしたのは2013年です。自分の店を開こうと、横須賀線沿線の駅をいくつか回ったのですが、保土ヶ谷駅は何ともいえない雰囲気のよさがあって「いい街だな」と素直に思えました。そうして月日が流れた今も、あのときの決断は大正解だったと実感しています（笑）。

クラシックブレンドをはじめ多彩なコーヒー豆を用意

ひと口にコーヒーといっても、深煎りのものもあれば、フルーティさを感じるものもあります。そうしたなかで「帷子珈琲のおすすめはコレ」といったものは特にないのですが……。当初は6種類程しかなかったバリエーションが今では20種程度まで増え、ふらりと立ち寄ったお客様にもきっと、心くすぐられる豆を見つけていただけると思います。また、アイスにしてもカフェオレにしても楽しめるように、苦みとコクのバランスを考え、「クラシックブレンド」はオープン当時から人気の商品です。
当店は「コーヒー豆の販売」を基本にしていますが、テイクアウトメニューとして全ての銘柄のホットコーヒーをお楽しみいただけます。お客様からコーヒーの味などについて相談を受けたとき、私としてもできるだけ詳しくお伝えしていますが、まずは味わっていただくのが一番ですから（笑）。お客様の中にはテイクアウト目的で来店なさる方も少なくないんですよ。

お客様をあたたかく迎え、おいしいコーヒーづくりに励む

私たちのようなコーヒー専門店は敷居の高いイメージがあるようで、お客様の中には「あまり詳しくなくて……すみません……」と申し訳なさそうにする方もいらっしゃいます。そんなときによくお伝えするのが「コーヒーの知識があってもなくても味は一緒ですから安心してください」ということ。おいしいコーヒーは誰が飲んでもおいしいですから、コーヒーの知識の有無にかかわらず、気軽に・安心して足を運んでいただきたいと思います。店にご用意しているのは私が「おいしい」と思ったものばかりですし、ここに来るだけで幸せを感じていただけるような時間と空間をご提供したいと思っています。
お客様と会話をするときは敷居の高さや居心地の悪さを感じることがないように、求められた情報を分かりやすくお伝えするようにしています。また、たとえ名前はご存知なくても味のイメージや今の気分を教えていただければ、きっとお好みのコーヒー豆をご提案できると思います。『帷子珈琲』のコーヒーを口にした方がその味に満足してくださり、お客様の輪が徐々に広がっていくように……。おいしいコーヒーづくりに励みながら、ゆっくりでもいいから大きく成長していきたいと思っています。

地域のみなさんへメッセージ

この場所に『帷子珈琲』を開いてもう10年ほど経ちますけれど、私はこれからもこの地で長く店を続けたいと考えています。店舗数ではなくお店のファンを増やし、店主である私はいつも変わらずここにいてお客様をお迎えしたいと思います。ですからどうか、保土ヶ谷駅を中心に近隣にお住まいの方や遠方から応援してくださるお客様には「みなさまのコーヒーライフは帷子珈琲にお任せください」とお伝えしたいです（笑）。僕自身、常に向上心を忘れずにおいしいコーヒーづくりに励み、お客様のコーヒーライフに彩りを添えたいと思います。

※上記記事は2023年2月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。