小塚 充 オーナー（Dinning Bar JOGO（ダイニングバージョーゴ）)のインタビュー

この仕事を天職と思い

元々は電車の運転士をしていました。ただ、当時からずっと「飲食をやりたい」と思い続けていたんですね。公共交通機関は動いて当たり前で、時間通りに来て当然と日本では思われています。それを「ありがたいこと」と思われている方も多いと思いますが、わざわざ口に出すことはしませんよね。その点、飲食店はお客様から直接「ありがとう」「ごちそうさま」といったお声がいただけ、肌でお気持ちを感じとることができますから、自分に向いていると考えたのです。
運転士の職を辞した後は、知り合いの飲食店の立ち上げなどを手伝ってきて、そろそろお客様とゆっくりお話ができる場所を取りたいと思い、地元である天王町に『ダイニングバー JOGO』をオープンしました。

天王町をもっと盛り上げていけるように

お店を開いたのは2019年のこと。新型コロナウイルスの流行が始まる直前のことでした。日本全国そうだったと思いますが、天王町も空きテナントが増え、商店街も寂しくなりかけていました。一方、この3、4年で天王町に住む方が増えてきたのも事実です。天王町にはまだ認知されていない多くの楽しいお店があります。新しく天王町に居を定めた方にそうしたお店に気づいてもらいたいですし、そのお手伝いができればと地元に帰ってきたのです。
お店はカラオケバーという形式をとっています。スナックさんやダーツバーさんは他にもありますが、そうしたところに足を運びづらいという方が一定数いらっしゃいます。そうした方々に立ち寄っていただける場所をと思い、カラオケバーという業態を選択したのです。他のお店さんと被らないものですから、紹介もしやすいですし、それはお客様の選択肢が増えることを意味します。いろんなお店に足を運んでいただきたいですね。

元力士が作る“ちゃんこ”料理

料理は元十両力士の久保田樹君が店長として仕切ってくれています。ご存知でしょうか。力士さんが作るものは、すべて“ちゃんこ”なんです。クレープだろうがオムレツだろうが、おすもうさんが作るものはすべてちゃんこ。だから、「ちゃんこ鍋」なんですね。彼が部屋でちゃんこ長から学んできた味を生かしつつ、さらにお客様からの要望も加え、いろいろと工夫しながら作ってくれています。
私が作っているものが1つだけありまして、それが「最強牛スジ煮込み」です。橘樹神社で毎年例大祭が執り行われますが、そこで振る舞いで出していたものをお客様のリクエストにお応えする形でメニューに入れました。これ、結構な時間のかかる料理で、丸三日煮込み続けないと美味しいスジにはなりません。圧力鍋を使うと煮くずれしてしまいますから、加減を見ながらゆっくり時間をかけて作るものなんですね。うちの牛スジ煮込みはお肉だけで野菜は使っていません。牛スジだからこその味をぜひ召し上がってみてください。

天王町、最強！

お酒のテーマは地産地消です。足柄ですとか、神奈川には近年評価を高めている地酒が色々とあります。商店街の有志でその蔵元さんに足を運び、気に入ったものだけを集めてあります。それから、クラフトビールも最近は勢いがすごいですね。湘南ビールは有名ですが、今やビールは六坪もあれば作れちゃいますから、質の良いものがたくさん出てきています。その他のお酒は、お客様からリクエストのあったものや、私の好みのものを色々と取り揃えています。
お酒も食事も、うちは値段を極力抑えています。商売ではありますが、ここは天王町の「案内所」のようなものですから、多くの人に足を運んでいただき、お店とお店をつなぐ役割を担っていきたいですね。

地域のみなさんへメッセージ

1枚の券で様々なお店を気軽に楽しめる「ちょい呑みフェスティバル」という催しが毎年5月と11月に開かれるのですが、今年の5月はそれを週末に開催する予定です。私は商店街の理事も務めており、街の復興に向けてみんなで色々と取り組んでいきたいですね。
この状況ですから、外に出てお食事やお買い物を楽しむ気持ちになかなかなれないというお気持ちはわかります。ですが、人には気晴らしが必要です。お酒を飲まなくても、お顔だけ見せてくれればそれだけで十分ですので、気軽に足をお運びください。うちだけではなく、天王町をとことん満喫して欲しいですし、その橋渡しを務めさせていただきます。

※上記記事は2023年1月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。