宮下 聡胤 理事長兼院長（あきデンタルクリニック)のインタビュー

一番身近で大事な“歯”の治療に携われる喜び

もともとは医学部志望だったんです。痛みを治したい、病気の治療に携わりたいといった漠然とした思いから医師になりたいと考えていたのですが、ご縁があり、昭和大学歯学部に進学しました。当時はいろいろと思うこともありましたが、今になってみると医者ではなく、歯科医になってよかったなと。確かに脳や心臓など、お医者さんが手術して悪いところを取り除くというのはダイナミック。それに比べれば歯科は地味ですよね。でも、歯は一番大事な部分。物を食べるところであると同時に、コミュニケーションを取る場所ですから。一番身近で大事なもの。その治療に関われることは自分にとって大きなやりがいになっています。

専門性に特化するのではなくオールマイティーに

天王町に「あきデンタルクリニック」を開業したのは、2001年。もう20年以上が経ちます。早いですね。もともと僕は和田町の生まれ。子どものころに、この付近によく遊びに来ていたので物件を紹介してもらったときに縁を感じて、開業を決めました。
当院が目指しているのは、なんでもオールマイティーにこなすワンランク上の歯医者さん。歯科の治療というのは、全部繋がっているんですね。大学病院だと、ひとつ治療が終わったら次はどこどこの科にいって下さい、といった形になりますが、一般の開業医はそれを全部一人でやらなくちゃいけない。それが自分の認識なので、特化した治療というよりも全てにおいてワンランク上の治療をオールマイティーに提供したいと考えています。

幼少期からの検診で将来の不安を解消

最近感じているのは、お子さんの口のなかの変化。むし歯が減って、歯並びが気になる子。口呼吸の子が多くなってきている気がします。口呼吸が顎の発達に影響し、全身に不調和が出てきてしまいますし、見逃してしまうと将来が不安。小さいころから早めの検診をおすすめします。しっかりとした口腔機能を獲得するためにも、食育といったことも当院ではアドバイスさせていただいています。今までの歯科は、むし歯など歯を診ることがメインでしたが、これからは機能的なこと、食べることや栄養のことなどの指導も大事になってくるのかなと。今、高齢者の誤嚥性肺炎が多くなっていますが、その原因になるのは喉の筋肉。小さいころからの生活習慣で養われるものでもあるので、しっかりとした咀嚼、嚥下というものを身に付けておかないといけない。そういったことまでフォローできる歯科医で在りたいなと考えています。

患者さん一人ひとりを理解しての治療を

もうひとつ最近増えたなと思っているのは、歯ぎしりや食いしばり。冷たいものがしみるからむし歯かなと思って診たら、歯ぎしりで歯が摩耗したり、削れてヒビが入っていたり。でも、歯ぎしりや食いしばりって、自分ではなかなか気が付かないんです。下を向くと肩に力が入るのと同じように、姿勢が悪いと歯を噛み締めていることが多いんですが、逆に歯に力が入っているから姿勢が悪くなってしまうこともあります。僕は歯を診ると同時に待合室での様子や姿勢、その人の癖などを見逃さないようにチェックしています。どういう仕事をしているのか、そういった患者さん一人ひとりの物語をちゃんと知って治療したい。機械的に診るクリニックではなく、原因が何か。そこまで探って、その人のことをちゃんと理解して治療する。そういったかかりつけ医になりたいですね。かかりつけ医って、その人の生活を知るということだと思いますから。

お口まわりの悩みなら相談ください

保土ケ谷歯科医師会の先生方は、皆さんすごく勉強熱心。特徴的な方が多いけど、日々研鑚を続けている先生ばかりなので、どこで診てもらっても安心できると思います。昔は欲張りで、患者さんみんな診たいと思っていましたけど、今は歯科医師会の先生方とのチーム感。ライバルだけど協力しあうというところをうまく使って、みんなで保土ケ谷区民の健康を支えていきたいと考えています。歯の痛みなら歯医者に行けばいいと思うけど、舌や顎のことはどこで診てもらうか悩みますよね。お口まわりのことなら、まずは歯科医に相談してみてください。そこから専門医を紹介できることもありますので、悩んでいることがあるときは気軽に相談にいらしてください。

※上記記事は2022年4月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。