足立 仁 院長（足立歯科)のインタビュー

プロレスラーへの夢破れて歯科医師の道に

昭和12（1937）年に、祖父がこの地で足立歯科医院を開業しました。そのあとを父が継ぎ、自分が3代目。最初、歯科医師になるつもりは全くなかったんです。高校生の頃はプロレスラーになるのが夢で、トレーニングに励むも思うように身体が大きくならなくて断念。その時に祖父が「うちの歯科医院を継いでくれるんだろう？」と。恥ずかしい話ですが、当時は仕方なく歯科大学に進学したんです。ですが、卒業後に勤めていた西区のクリニックで治療を担当したお子さんから「先生ありがとう」と、あるキャラクターの消しゴムをもらって。その時に、歯科医師って人の役に立てる素敵な仕事なんだなと。遅すぎるとは思いますが、そこで歯科医師としての気持ちを改めたというか、真剣に向き合おうという気持ちになれたんですね。その西区のクリニックで約6年勤務したあと、ここに戻ってきてもう21年ほど。小さい頃、診察室をうろうろしていたので御高齢の患者様には「先生、子供の時よくそこから覗いていたでしょ？」と言われたりもしますね。気恥ずかしい気持ちもありますが、3代目として歯科医師を続けている事は祖父も父も喜んでくれているのかなと思っています。

患者様とのコミュニケーションを大事に

常に意識しているのは、オールマイティーな対応で患者様にとって最良の治療を提供すること。「木を見て森を見ず」ではないですが全体的に診ることを心がけているので、特にこれを専門的に、という強みはないんです。自分の今出来ることを精一杯やって、難しいケースは専門の先生をご紹介する。患者様とは正直に向き合うようにしています。やはり信頼関係をきちんと築くことが一番大事だなと思うんです。患者様がどういうライフスタイルを送っているのか。そういったことを知ったうえで治療したいなと思うので、患者様との会話も重要視しています。治療に入る前に、かなり長く話し込んでしまう患者様も多いんですよ。御高齢の方だとお孫さんの写真を見せてくれたりして。「そろそろ治療する？」と聞くと「実は今日、歯は痛くないんだ」と言われたりして（笑）。当院のスタッフは僕と妻の2人だけなので、アットホームな雰囲気の中でお話してもらえるのかなとも思っています。

むし歯が全身の疾患に繋がる可能性も

歯周病が全身的な疾患の原因に繋がる可能性がある様に、虫歯も全身的な疾患の原因に繋がる可能性があります。虫歯1本放置するだけで噛み合わせが悪くなり、首・肩・腰・膝に悪影響を与え、その結果、姿勢を悪くしたり、筋肉も付きづらくなってしまう事もあります。そういった事を避けるためにも、定期的なメンテナンスを心がけていただきたいなと思っています。昔は歯医者さんというと痛いことが多かったかもしれませんが、メンテナンスをしっかりしていれば、むし歯になっていても早めの発見で痛みなく治療ができますから、不安を感じずにお越しいただけたら嬉しいです。

技工士と衛生士と自分でひとつのチーム

自分は噛み合わせを見るのが好きなんです。患者様に歯の模型を取らせて頂いて「ここをこうすると治るかな」といった感じで、いじっている時間がすごく楽しいんですよね。患者様に対しても、それをお見せしながら「こうなりますよ」と説明すると分かりやすいかなと思いますし、そのほうが歯を作ってもらう技工士さんと話す時もスムーズです。当院でお願いしている技工士さんは、自分の幼馴染。なんでも言い合える仲間といった感じで、彼も当院のチームのひとりです。自分が院長ではありますが、技工士の彼と衛生士の妻、3人でタッグを組んで治療にあたっているという感覚です。

今後も患者様としっかりと向き合っていきたい

昭和12年に祖父が開業して、もうすぐ86年。実はあと14年続けて、開業100年を迎えたところでスパッと辞めようかなという思いもあるんです。だから、娘には歯科医師にはならなくてもいいよ、と伝えています。100年計画に引っかかっちゃいますから（笑）。でも、先日患者さんに「せっかくだから111年にしたら？」と言われたんですよね。余談ですけど、自分が妻と結婚したのが平成11年11月11日。なので、今は少し1並びも悪くないのかな、なんて思っています。こうやって長くこの地で歯科医院を続けていられるのは、祖父と父が地盤を固めてくれた事はもちろんですが、自分の代になっても変わらず信頼して来院して下さっている患者様のおかげです。今後も、きちんと患者様と向き合うという自分の信念を貫いて行きたいと思っています。なるべく来院しやすい環境を作っていますので、お口の中のことについて気になることがあれば、ぜひ気軽にお越し下さい。

※上記記事は2022年4月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。