天王町皮フ科 中澤 かおり 院長 KAORI NAKAZAWA
日本大学医学部卒業。同大学大学院修了(病理学)。同大学医学部皮膚科学教室へ入局。1996年1月、横浜市で『天王町皮フ科』を開業(相鉄線「天王町駅」より徒歩2分)
日本大学医学部卒業。同大学大学院修了(病理学)。同大学医学部皮膚科学教室へ入局。1996年1月、横浜市で『天王町皮フ科』を開業(相鉄線「天王町駅」より徒歩2分)
私は東京で内科を開業していた曽祖父から4代目ですが、戦時中に山形へ疎開した祖父と父は山形で開業しており、医学部以外は許してもらえない家で育ちました。大学卒業後は大学院に進み、病理学を専攻しました。学生の頃はそんなに熱心に基礎医学を学んでいたわけではなかったのですが、卒業する頃になって、病気の理屈や関係性など、もう少しいろんなことをちゃんと知りたいと思ったんですね。それからもう1つ、顕微鏡が好きで、それも選択した理由でした。実は、皮膚科を選んだのもそうなのです。形態学と言うのでしょうか、病理が、組織標本を見てがん細胞を発見するように、自分の目で皮膚を見て、総合的に診断する皮膚科は私に合っていると思えたのです。病理を経たことが、今に役立っている部分もあるように思います。例えば皮膚の症状を見て、中で何が起こっているかを常に考えるんですね。そして、その考えを患者さんにも伝えていきます。“ストーリー”がわかれば、患者さんの理解が深まることもありますし、その発想のベースは大学院で培われたのでしょう。
1996年に開院した『天王町皮フ科』は、3年ほど前にリニューアルしました。以前は全体がグレーっぽい、言ってみれば病院っぽいイメージだったのですけども、茶色を基調に、落ち着いた雰囲気のお部屋に仕上がったと思います。「こんな色の病院は見たことがない」といって、大工さんにはずいぶん反対されたんですよ(笑)。でも、できてみると、患者さんからは「ホテルみたいで、リラックスできる」と好評いただいています。患者さんに安心感を提供できるクリニックでありたいですね。
お子さんとご高齢の患者さんが多いですね。お子さんの場合、乾燥型の湿疹やアトピー性皮膚炎、加えて、夏は飛び火や虫刺され、あせもの子達が多い傾向です。ご高齢の方々は、帯状疱疹、乾皮症や頭が痒くなる脂漏性湿疹、それに年齢に伴うイボといったお悩みが多いですね。イボは以前は放っておかれる方が多かったと思うんです。それが時代が変わり、男性も若々しくキレイに見られたいというご希望があり、治療を望まれる方が増えてきた印象です。当院では液体窒素によるイボの治療をおこなっています。
今後も保険診療を軸にすることに変わりはありませんけども、できる限り“新しいこと”を入れていきたいですね。現在も毎週金曜日には代診の先生にいらしていただき、月に1回、漢方を専門とする先生にも診療を担当していただいています。1人でずっとやっていますと、どうしても視野が狭くなってしまうので、若い先生が加わることで、実践に即した知識が入ってきますし、様々な目で患者さんを診ることもできるようになります。こちらで医院を開いて26年が経ちますけども、新しい風を積極的に入れていきたいと考えています。
おひとりおひとりに合わせた診療を心がけています。例えばですけども、すごくしっかりやりたい方と、そうでもない方がいらっしゃいます。後者の場合、1日2回の塗り薬を「1回でもいいかい?」と仰ることがよくあるんですね。そこで怒ってしまってはダメです。まずは1回から始めてもらい、良くなったら、「2回塗るともっと良くなると思いますよ」と進めていくんです。
実は、若い頃は「できない」ということが理解できないところがありました。私事ですけども、3年前より両親の介護をするようになりました。実際にやってみると、それがどれだけ大変なことか、人ごとではなく実感することができました。それとともに、患者さんへの接し方にも変化が出てきたように思います。以前であれば、最善と思える処置を勧めていたところが、その患者さんにとって難しいと判断したら、「別の方法を考えてみましょうか」と言えるようになったのです。「医療」と言いながら、それがもとで患者さんやご家族を苦しめるようなことになっては本末転倒です。そう考えますと、年齢や経験は大事だと思いますし、時に回り道になっても、いつかそれが糧になるのだと感じています。
若い方のニキビやアトピー性皮膚炎など、“見た目”もまた大切で、それを良くしていくことに力を入れています。ニキビやアトピーは生活習慣がキーになっていることも多く、そのため、問診には時間をかています。例えば、お化粧品については詳しく伺っていきます。いくら良いものであっても、合う合わないはどうしてもあるものなんです。でも、何年も使っておられれば、それを変えるのは本当に難しいこと。そこは丁寧に時間をかけてご説明していきます。
ご理解いただけ、良くなった方は、何かあるたびにまた訪れてくださいます。もう長い方ですと、座っただけでその日の調子がわかるくらいになりますし、逆に、「先生、大丈夫?」と気遣ってくださる方もいらっしゃるんです(笑)。そんなやり取りは大学に勤めている時にはなかったことで、開業医としての幸せを日々感じて診療に臨んでいます。
できるだけ早く受診をお考えください。「いつもと違う」「何かおかしい」と思ったら、主治医の先生や近くの先生に相談するというのが本当に大切です。早期発見・早期治療がどの病気に対しても望ましいのは言うまでもありません。どうぞお気軽に、いつでもご相談くださいね。
※上記記事は2022年10月に取材したものです。
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